介護業界で働く人たちや、福祉を学ぶ学生にしばしば見られる職業に対する考え方があります。
例えば、各大学の経済学部では民間企業に就職する学生が多いのですが、就職戦線で企業を選ぶにあたって、行きたい業界を絞り込みます。
そうして、その業界の個々の企業がそれぞれ個性的で、全く違う考え方でビジネスを展開していることを研究し理解を深めていきます。
それを踏まえて、どの企業に自分が合っているのかを検討し企業を選ぶのです。
単純に業界だけを決めればよいという発想はありません。
「働くことは、企業を決めること」でイコールなのです。
ところが、福祉系の学生の中には、介護業界に行こうと決めたならば、その業界の施設であればどこでも変わりはないと考える人がいるのです。
例えば、老人ホームであればどこでも同じなので、とりあえず早く内定をくれたところに就職をしようとする人がいます。
つまり、老人ホーム間での違いがあることは、それほど意識されず、職業観は「働くことと、業界を決めること」がイコールなのです。
ところが、実際に働いてみると分かるのですが、老人ホームと一口に言っても施設によって待遇は天と地ほど違うということは珍しいことではありません。
入社後にブラック施設と気付いて、転職という事態になってしまいます。
さらに、経済学部の学生は「働くことは給料をもらうこと」と考えるのですが、介護職の学生は「働くことは自己実現すること」と自分の情熱が先走ってしまうところがあります。